投資手段の一つとして国内でも高い人気を誇っているFXですが、実は国内と海外でシステム・仕組みが異なります。
国内FXをしたことがあるという方でも、「海外FXについてよくわかっていない」という方は多いのではないでしょうか。
ここでは、海外FXにどのようなメリットがあるのか・デメリットは何かを、国内FXと比較しつつ解説していきます。
メリットデメリット各3つずつ上げて解説していきます。
目次
海外FXのメリット【3つ】
まずは海外FXのメリットについて、大きく3つに分けて解説します。
メリット①「レバレッジの上限が高い」
海外FXの特筆すべきメリットとも言えるのが、圧倒的なレバレッジの高さです。
レバレッジは国内における株取引などでも活用できますが、FXの場合は最大で25倍までレバレッジをかけられるのが強みとなっています。国内FXの倍率上限は25倍なので、これでも十分にレバレッジは高いです。
しかし、それをさらに上回るのが海外FX。
これは海外FXの取引所にもよりますが、888倍ほどのレバレッジをかけることが可能となっています。
例えば10,000円にレバレッジをかける場合、国内では25万円までのところ、海外FXであれば888万円で取引ができるということです(実際は無理のある取引ですとできません)。
レバレッジの上限を非常に高くできる点は、少額から投資可能という長所にも繋がります。
前述した例では10,000円を投資していますが、数百円単位の投資であっても、レバレッジによって数十万円相当の取引が可能です。そのため、「少額投資で多大な利益を得たい」という方は、海外FXを利用するのがおすすめだと言えるでしょう。
ハイレバレッジにはリスクもある?
しかし、国内FXを利用した経験のある方は、ここで一つ疑問が浮かぶのではないでしょうか。
25倍のレバレッジをかけた取引は、高いリターンが望める一方、リスクも高くなります。「25倍であってもハイリスクなのに、888倍で取引して失敗してしまったら…」と心配する方もいるでしょう。
もし仮に国内FXで888倍というレバレッジをかけて運用に失敗すれば、借金地獄に陥ってしまいます。
しかし、海外FXの場合、高いレバレッジのリスクを減らすシステムが導入されています。
それが「ゼロカット」というシステムです。
海外FXをしていない方には馴染みのない言葉ですから、ここからは「ゼロカットが何か」を詳しく見ていきましょう。
ゼロカットとは?
ゼロカットは、一言で表すと「借金を負うリスクを無くすシステム」のことです。
国内FXにおいて、レバレッジによりリスクが発生するのは追加証拠金の存在が背景にあります。追加証拠金があるからこそ、ロスカットが間に合わないなどの理由で残高以上の損失が出た場合に借金を負ってしまうリスクが発生するわけです。
一方、海外FXの場合はゼロカットシステムにより、追加証拠金(=借金)が発生しないようになっています。
なぜ追加証拠金が出ないかと言うと、海外FXの取引所を運営している企業・組織が損失分をすべて補填しているからです。
基本的に補填額に限度などもなく、例えば10,000円に888倍のレバレッジをかけて損失が出たとしても、ユーザー側に発生する損失は証拠金である10,000円の分だけになります。
これこそがゼロカットシステムの最大の特徴であり、メリットだと言えます。
具体的な条件や規定なども存在しますが、ひとまずは「ノーリスクでハイレバレッジ取引ができるシステム」だと考えておけば良いでしょう。
なぜ国内FXにゼロカットはないのか?
ゼロカットシステムは、FXにおいて非常に重要で便利なシステムです。そんなゼロカットシステムに対して、「国内FXでも利用できればいいのに」と思った方もいるのではないでしょうか。決して意地悪をしているわけではなく、実はゼロカットシステムを導入できない理由が存在するのです。
導入できない背景には、日本国内で制定されている法律が大きく関係しています。FXは金融商品取引法という法律をもとにサービスが提供されていますが、その中で…
「顧客の損失に対し、一部もしくは全てを補填する行為をしてはならない」
といった記述があります。
前述の通り、ゼロカットシステムはレバレッジによって生じた損失を補填してもらえるシステムです。
つまり、ゼロカットは金融商品取引法に抵触している行為およびシステムなので、導入することができないということ。
その代わりとして、国内ではレバレッジが25倍までと低く設定されていたり、ロスカットに関するルールが細かく設定されていたりといった損失を減らすための工夫がなされています。
メリット②「約定拒否がない」
国内FXを利用している方であれば、「約定拒否」に不満を持っている方も多いのではないでしょうか。細かなレートの変動に合わせてスムーズに約定できないのは、トレーダーとしてはいら立ちが募る要素とも言えます。
しかし、悪意を持って行われているわけではなく、多くの場合はシステム障害や何かしらの仕様が関係して発生するものなので、仕方のない問題でもあります。
一方、そういった約定拒否が存在しないのが海外FXです。
約定拒否が存在しないため、売り買いの注文をスムーズに処理し、利益ないしは損失額をコントロールすることが容易となっています。では、なぜ国内FXには約定拒否があって、海外FXにはないのでしょうか。
海外FXに約定拒否がない理由
海外FXに約定拒否がないことには、採用されている約定方式の違いが関係します。国内FXのほとんどで導入されているのが、DD方式と呼ばれる方式です。
DD方式はわかりやすく言えばFX業者が注文の処理に介入する方式なので、FX業者の判断によって注文がなかったことにされたり、相殺されたりします。これにより、約定拒否が発生するというわけです。
一方、海外FXではNDD方式と呼ばれる方式が採用されています。
NDD方式はユーザーの注文にFX業者が介入せず、注文がそのままインターバンクに流れる仕組みです。そのため、業者側の裁量で約定拒否が起こったりすることもありません。これだけ聞くと「すべての業者でNDD方式を採用すればいいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、それをさせないのが手数料の問題です。
国内FXの多くは「手数料無料」を謳っており、実際に手軽に取引ができるのが魅力となっています。
しかし、FX業者は手数料で利益を得ているわけですから、すべての注文を通して利益を得られてしまうと、FX業者に入る利益がほとんどゼロになるのです。そのため、一部の注文については約定拒否をし、残りはインターバンクに流すをバランスよく繰り返しながら利益を保っています。逆に海外FXは約定拒否がない分、どの取引においても手数料がかかります。したがって、海外FXの業者はどの注文をインターバンクに流しても手数料によって利益が得られるので、NDD方式を採用することができるというわけです。
メリット③「ボーナスが豊富」
海外FXの長所でもあるのが、ボーナスの豊富さです。
新規口座開設に際するボーナスをはじめ、入金や友達紹介、キャッシュバックといった多様なボーナスを受け取ることができます。
国内FXにもボーナス自体は存在しますが、ボーナスの金額・種類については海外FXの方が優れていると言えるでしょう。
特に新規口座開設で多額のボーナスがもらえることもあるため、軍資金がそれほどない状態でも取引が開始できるのは大きなメリットです。
ただし、当然ながらFX業者によってボーナスの種類なども異なるので、ボーナスを重視する際はFX業者のホームページや口コミなどをよく確認するようにしましょう。
海外FXのデメリット【3つ】
次は、海外FXのデメリットについて、同じく3つに分けて解説します。
デメリット①「スプレッド幅が広め」
海外FX業者のスプレッド幅は広いので、利益を得られるかどうかという観点からハイリスクです。
国内では1pips以下の例も多いですが、海外の場合には2pips前後になっていることが多くなっています。
スプレッド幅が広いと利益を上げにくいのが難点で、国内業者を使うときに比べてエントリーも利確も慎重にならざるを得ません。また、スプレッドは手数料なのでゼロという場合には別に手数料を取られる可能性があります。海外FX業者なのにスプレッド幅が狭くて魅力的だと思って取引を始めたら、手数料が高くて稼げないということもあるので注意しましょう。
デメリット②「詐欺の可能性も考えよう」
海外FX業者を利用するときにはそもそもサービス自体のリスクが高いのが注意点です。納得した上で利用するのが原則になりますが、大きなデメリットになる部分も多数見受けられます。
業者による違いも大きいので私も海外FXを始めるときには業者選びで悩みました。以下の問題点については留意しておく必要があります。
日本の金融庁未登録
海外FX業者は日本の金融庁から指摘を受けていて危険ではないかとよく言われています。
日本の金融庁で登録をしている国内FX業者に比べると厳しい基準の下で運営しているとは限らないのでリスクが高いのは確かです。
海外業者としては日本の金融庁の登録条件をクリアするのは大変というのもあります。
ですが、日本の金融庁に登録しない理由としては、「ゼロカットの利用が制限される・ハイレバレッジが実行できない」などが挙げられます。
詐欺の可能性
海外FXには詐欺もあるのが恐ろしい点で、オフィシャルサイトを見ると安全なサービスを提供しているように感じられても、実はFXすらできない詐欺業者のこともあります。
口座開設をして入金することはできても、取引は仮想のもので残高が増えても出金できないというのがよくある詐欺です。
また、海外の金融ライセンスを所持していると明示していたのが嘘で、指摘を受けて撤退するというケースもあります。
NDDを謳いながらレートの裏操作をしているという噂のある海外FX業者もあるので、安定した信頼を獲得している業者を選ばないと大きなリスクを抱えることになります。
デメリット③「税金の面で不利になる」
海外FXのデメリットとして税金が高くなってしまいやすいことが挙げられます。
ハイレバレッジのリスクを乗り越えて稼いだ後、確定申告をする段階になって私も愕然としました。海外FXでは利益が大きくなるほど税率が上がる累進課税が適用されるのが難点です。
この場合、必要経費をうまく使って、税金対策を行いましょう。
海外FXの場合は総合課税
海外FXの利益は所得税と住民税が課されますが、税の区分としては総合課税の雑所得になります。
これに対して国内FXの利益の場合には申告分率課税になり、雑所得として扱われるのが一般的です。
国内の場合には所得税と住民税に復興特別所得税も加味して一律で20.315%です。
しかし、海外FXでは総合課税になるので給与所得や事業所得、不動産所得などの他の所得と合わせた金額に応じて税率が決まります。
所得が330万円以上になると30%以上の税率になるため、大抵の人は国内FXでの利益に比べて10%以上も大きい所得税を納めなければならないのがデメリットです。
繰越控除ができない
海外FXの場合には繰越控除ができないのもデメリットです。
国内の場合には損失が発生した場合に翌年に損失分を繰り越して、向こう三年間の損益通算に適用することができます。
しかし、総合課税の雑所得では繰越控除が認められていないので、海外FXでは年をまたいで損益通算を行えません。
損失が生じたときには大きな違いが生まれる部分なので海外FXを選ぶときには注意しましょう。
まとめ
国内FXと比較すると、海外FXには独自のメリット・長所が存在することがわかります。
日本とは比べ物にならないようなハイレバレッジ取引をゼロカットシステムによってほぼノーリスクで行えるのは、海外FXの代表的なメリットです。
少額投資で始めたい方や破産のリスクを軽減したい方、約定拒否が嫌という方は、海外FXで取引を始めてみるのが良いでしょう。
このように、海外FXではサービスの内容の厳しい制限がなく、FXのルールについても自由度が高くなっています。
しかし一方で、スプレッドが高い点や、詐欺行為を行う業者も存在しているのがデメリットです。
利用する上では注意が必要ですが、業者を厳選して有効活用している人も大勢います。
ここで紹介したデメリットを念頭に置いて業者を選ぶという視点で海外FXを検討してみましょう。