ここではFXの専門用語である「pips」とは何なのか、詳しく解説していきます。
pipsを理解して、上手くトレードに活かしていきましょう。
- 「pips」とはなんなのか?
- 1pipsはいくらになるのか
- トレード際の1pips動くとどのくらいの利益が出るのか
目次
そもそもpipsとは?
「pips」とは、「Percentage in Point」の略。
複数単位で使うことが圧倒的に多いので「s」がついています。
というよりはむしろ、実際の場面で単数で使うことはほぼありません。
そのため、解説記事では単数の1であっても、1pipsと表記していることもあります。
読み方は、「ピプス」あるいは「ピップス」、単数で使うときは「ピプ」あるいは「ピップ」となります。
FXにおける共通の単位として誕生
FX会社は、世界の基軸通貨である米ドルをはじめ、日本円やユーロ、英ポンドなど何ヵ国もの通貨を扱っています。しかもその呼び名の通り、通貨にはそれぞれに単位があり、FX取引を複雑なものに見せています。
そこで登場したのがpipsです。
FXは、ドル/円やユーロ/ドル、ユーロ/円など、さまざまな通貨ペアが存在し、それぞれの為替レートの変動を読んで売買することで利益を追求します。
このとき、円であれば「〇円の変動」、ドルであれば「〇ドルの変動」、ユーロであれば「〇ユーロの変動」と言います。
通貨の単位が違うので、直感的に比較するのは難しいですね。
そこで登場したのが、違う通貨を共通の単位で表す「pips」です。
「pips」を使って通貨の変動を表すと、「円が〇pips変動した」、「ドルが〇pips変動した」、「ユーロが〇pips変動した」と表すことが可能になります。
つまり「pips」ができたことで、どんな通貨ペアでも「pips」という共通の単位を使うことができるようになりました。
スプレッドの単位としても使用
「pips」は、買値と売値の差を表す「スプレッド」の単位としても使われています。
通貨は、同じタイミングでも買値と売値に違いがあります。
この差を「スプレッド」といい、この差を表すにも共通の単位として「pips」が利用されているのです。
FXの1pipsはいくらなのか?解説
一番気になるのは、1pipsが一体いくらなのか、ということですね。
1pipsは、通貨ペアによって異なります。
しかも、日本円とのペアの場合と、日本円を含まないペアの場合では、また違います。
FX取引は、交換対象の通貨の組み合わせを「通貨ペア」と呼びます。
ニュースなどでもよく耳にするのが「どるえん」と呼ばれる米ドルと円のペア=「米ドル/円」です。
ほかにも「ユーロ/円」(ゆーろえん)、「英ポンド/円」(ぽんどえん)などがあります。
本来はそういった通貨ペアの単位を統一するために「pips」ができたので、最初はいくらなのか、あまり理解できなくても大丈夫です。トレードしていくうちに自然といくらくらいか、感覚が身についていきます。
それではどう違うのか、解説します。
日本円との通貨ペアの場合
まずは、日本円とのペアについて確認します。
通貨ペアのうち、世界基軸通貨である米ドルとの取引を「ドルストレート」と呼びます。つまり、「米ドル/円」はドルストレートです。また、米ドル以外の円とのペアを「クロス円」と呼びます。これは、「ユーロ/円」や「英ポンド/円」を指します。
とはいえ、どちらも円とのペアなので、pipsの値は同じです。
この場合の1pipsは、0.01円(1銭)、10pips=0.1円(10銭)、100pips=1円(100銭)になります。
- 1pipsは、0.01円(1銭)
- 10pips=0.1円(10銭)
- 100pips=1円(100銭)
【レートが上昇(円安への動き)した場合】
例えば100.00円が100.25円に変動した場合、「25pips(25銭)上昇した」といいます。
日本円を含まない通貨ペアの場合
一方、日本円を含まないユーロ/ドルやポンド/ドルなどの米ドルストレート通貨の場合は、1pips=0.0001ドル(0.01セント)を表します。
ユーロ/ドルのレートが1.1500ドルから1.1505ドルに上昇した場合、「5pips上昇した」といいます。
では、円を含まず、ドルストレートでもない通貨ペアの場合は、どうなるでしょうか?
例えば、ユーロ/ポンドですね。
この場合は、ドルと同様で1pips=0.0001で、単位がポンドとなります。
つまり円を含まない通貨ペアは、0.0001通貨単位と理解すればOKです。
- 1pips=0.0001ドル(0.01セント)
- 10pips=0.001ドル(0.1セント)
- 100pips=0.01ドル(1セント)
1pipsの利益はいくらになる?【計算方法】
ポジションを持った時に、1pipsチャートが動くとどのくらいの利益が出るのか、計算方法を解説します。
エントリー取引数量 × 0.0001 × 為替レート
=1pipsで得られる利益
上の計算式で1pipsで得られる利益を表すことができます。
日本円が絡む通貨ペアの場合と、そうでない場合とでは、最後に「日本円」に変更する手順があるだけで特に計算式に変わりはありません。言葉だけでは伝わらないかと思うので、実際に例を出して見ていきましょう。
日本円が絡む通貨ペアの1pipsの利益幅の計算
ドル円で計算してみましょう。
例えば、ドル円で10万通貨ポジションを持つとします。
この時、ドル円は1ドル=120円でした。
これを計算式に当てはめましょう。
エントリー通貨数量は10万、為替レートは120円ですので、以下のようになります。
10万×0.0001×120円=1,200円
つまり、この場合のドル円のトレードで1pipsの利益幅は1,200円分ということになります。
※ただしレバレッジは考慮していません。
日本円が絡まない通貨ペアの1pipsの利益幅の計算
ユーロドルで計算してみましょう。
例えば、ユーロドルで10万通貨ポジションを持つとします。
この時、ユーロドルは1ユーロ=1.10ドルでした。
これを計算式に当てはめると以下のようになります。
10万×0.0001×1.10ドル=11ドル
計算結果の単位は為替レートと同じになるため、11”ドル”になります。
そのため、最後にこの11ドルを日本円に直す必要があります。
例えば、このトレードをしている時に、ドル円は1ドル=115円でした。
つまり、11ドル×115円=1,265円
結果このユーロドルのトレードで得られる1pipsの利益幅は、1,256円となります。
pips値が違うFX会社もある
ところで、1pipsがいくらかは、FX会社によって違います。違う通貨を単位を揃えることでわかりやすくするものなので、会社ごとに違うということも起きてしまうのです。
とはいっても、多くの海外FX会社が共通で使っているのは、1pips=0.01円(1銭)です。
多くの会社が共通で使ったほうがわかりやすいですからね。
そのため基本的には、さほど気にしなくて大丈夫です。
また、FX会社は自社サイトに1pipsいくらと定義しているかについて、書いています。
気になる場合は、そういったポイントをチェックすることをお勧めします。
まとめ
FXの取引は、投資初心者にとって難しい専門用語がたくさんあって、その理解に苦労するもの。でも、理解しておくとスムーズに取引が行えます。
「pips」は、初心者といえども理解しておきたい言葉の一つ。
為替レートの上がり下がりを直感的に捉えるのに役立ちます。
その役割は2つ。
1つは、単位が違う世界の通貨の為替レートの変動をわかりやすくするために、共通の単位として使われています。
もう1つは、買値と売値の差を表す「スプレッド」の単位を表す役割。
2つの役割が理解できると、ワンランク上のFX取引が行えるようになるはずです。